
・・・まだ体のなかを、音が駆け巡っている。
サン・ミッシェル大聖堂のオルガンコンサートに行ってきた。
20時の開始に少し遅れて聖堂にはいると、もうそこにあるのは音だけ。
席を探し木の椅子に座って、響きに身をゆだねるつもりが、そんな余裕をゆるさないだけの圧倒的な音、音、音。こちらが音楽に気持ちを向けるというのではなく、音に取り込まれてしまう感じだ。
以前東京カテドラル大聖堂で、この感覚を味わったことを思い出した。
メシアンの荘厳な曲だったせいもあるが、音が<降ってくる>としか言いようのないコンサートだった。
聖堂は前後に細長くのびていて、天井で結ばれている弧がシンプルだが美しい。
両側には聖人の像が飾られた柱が並び、その柱に「bird's nest」(by教会のパンフレット)のように高い位置でオルガンが据え付けられている。
オルガンは、パイプ4300本、四段鍵盤で63ストップというから、かなり大きい。いわゆる歴史的オルガンのような凝った外観ではなくて、木目が新しいすっきりとしたデザインだった。修復されたかあるいは新しく設置されたのだろう。
アランやヴィエルヌといったフランス近代の作曲家、そして、バッハとレーガーという、ドイツの古典と近代の二大巨匠の曲が弾かれた。
日本のコンサートではバッハが多いが、やはりここはフランス圏。フランス・オルガン音楽特有の流れるような旋律とやさしい響きになぐさめられた。
そしてまた一方では、重なり合い屹立してゆく音の群れ。
こうして聖堂に満ちる音に圧倒されるとき、西欧の教会とオルガンの歴史に圧倒されているのと同じなのだと思う。
頭のてっぺんから揺さぶられて、夢でも音に囲まれそうな気がしている。
♪パイプオルガンのこと、いろいろ↓
パイプオルガンと音楽