ペンテコステ(聖霊降臨祭)の連休を利用して、昨日までチェコ・ツアーに参加。「プラハの春音楽祭」の最終日コンサートを聴くことができた。
会場は市民会館にあるスメタナホール。アールヌーボーの装飾も見事だが、入口からステージまでまっすぐに続く奥行き感の威容が素晴らしい。
コンサートは、ウラディミール・ヴァーレク指揮のプラハ放送交響楽団で、クルサーク「スケルツォ・カプリチオーソ」、プロコフィエフ「スキタイ組曲」、そしてドヴォルザーク「交響曲第5番」。私にとっては馴染みがあるとはいえない曲目だったのだがホールの音響の良さは格別で、管の冴えた音色が印象的だった。
この音楽祭のオープニングコンサートは毎年、ドヴォルザークと並ぶチェコの作曲家スメタナの「わが祖国」。あの有名な二曲目「モルダウ」にはやはり魅かれる。会場で、Karel Ancerlという指揮者のチェコフィル盤を買ってみた。この人はチェコの往年の名指揮者ということで、売り場のおじょうさんももう一枚あったクーベリック盤と比べてこちらがお薦めという。チェコ生まれのクーベリックは、チェコの共産化に反対して亡命、1990年のプラハの春音楽祭で「わが祖国」を振って民主化後のチェコに復活した人だが、私が持っている彼のボストン響での「わが祖国」は名盤のうわさがある。聞き比べるのがたのしみ。
終演後外に出ると、正門の上のバルコニーからファンファーレの演奏が聞こえてきて、三週間の音楽祭の終了を告げている。こうしていわば観光客として音楽祭を「体験」しに来た私の少々の居心地の悪さを昇華してくれる、高らかな響きだった。