カテゴリ:音楽レコメンド( 59 )

十一月の月の光

十月に札幌で、カンヌで賞をとったトウキョウソナタを観たのですが、小泉今日子さんの存在感はなかなかのものでした。アイドル全盛期を知る世代としては隔世の感。ラストで弾かれるドビュッシーの「月の光」が、映画のキーワードの一つでもあるように思いましたが、彼女がこの場面について、「バラバラに見える人間関係も価値観の違いも乗り越えてしまう芸術がこの世にあることを、黒沢監督が教えてくれていると感じた」という意味のことをインタヴューで答えていました。
家族が壊れるというにはあまりにも強烈な、突拍子のないくらいの展開の最後に聴く、ドビュッシー。このところの冴えた月明かりに、'思い出し聴き'をしています。いろいろなことがほろほろと収束していくような静かな音が好きで、モニク・アース盤。
ドビュッシー:ピアノ作品全集第1集
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by skyblue_2 | 2008-11-15 13:00 | 音楽レコメンド

フォルテピアノ

「驚くべき、驚くべきシュトライヒャー@宗次ホール」by庭は夏の日ざかりよりトラバ。

名古屋市の宗次ホールでの、フォルテピアノを交えたこの室内楽コンサート、私も聴いてきました。かつてブルージュでフォルテピアノを聴いたときの<繊細な・か弱い>という印象は良い意味で裏切られ、決してそれだけでは言い尽くせない魅力に触れた気がしました。バイオリンやチェロとのバランスが心地良くて。
ホールで買い求めたCDで聴く「エリーゼのために」の、<ピリオドなもの>という意識を越えて届く音色はとてもまろやかです。

それにしても、全国のホールであんなに丁寧なお出迎えとお見送りがあるのはここくらいではないのでしょうか?!
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by skyblue_2 | 2008-10-21 20:42 | 音楽レコメンド

Thank YOU for the Music

弱っている時ほど、確かなもの、ある高みに達したものを前にすると、慰められ力を貰います。まだ何か、自分にもできることがあるはず…。そんなふうに思わせてくれる音楽の場というのもあるわけで。

先日聴いたトン・コープマンのチェンバロ(@しらかわホール)の、60歳を過ぎてなお「超」のつくような技巧。ホールに気迫がひたひた満ちていくようでした。
昨日のN響(@豊田市コンサートホール)は、ブラームスのバイオリン・コンチェルトとチャイコフスキーの4番シンフォニー。あの美しく際立つメロディラインを越え、さらに先へ。そういう輝きを感じることのできる演奏だったと思います。

そうはいっても、コトバに書ける感動は僅かな一部分。だからこそ、I thank you for the music!


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by skyblue_2 | 2008-09-30 13:10 | 音楽レコメンド

音楽があればなんとかなる

健康に関わる「取り込み事」が勃発。時間の流れ方が変わってしまいました。ちょっと大袈裟か。これから長い間をかけて対処していかなくてはならない類のことなので、成ってくることを在るがままに、くらいの境地でいこうじゃないの!とサトったつもりになりつつ、たまに暴発しつつ、、

そんな中、レッスン。音楽以前の代物を抱えてチェンバロに向かって、それでもなんとも云い難い喜びがあるというのはなんなのでしょう。
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このクープランのクラヴサン曲集の一曲Les Langueurs-Tendres は、優しい恋やつれ とか甘い憔悴 とか訳されていて、たくさんの装飾音がまさにたゆたう心そのものというような曲。今のドタバタしている毎日だからこそ、ある意味ふさわしいともいえそうな…。せめて優美に、げんなり憔悴 にだけは聞こえないように弾きたいものです。

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'06/11月、ブラッセルで行った最後のチェンバロ演奏会で。このバージナル、悲しいことにもう音色が思い出せません。
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by skyblue_2 | 2008-09-17 15:46 | 音楽レコメンド

続・音の打ち水

Deutsche Harmonia Mundi: 50 Years (1958-2008)
/ Deutsche Harmonia Mundi



この、古楽満載でお値段格安(私はタワレコで五千円ちょっとでした)の50枚組ボックスは、あちこちで評判を見かけます。緩々亭の日記“無秩序の喜び”Delight disorderを拝見して、まだ未聴の37枚目をさっそく聴いてみました。イギリスのバロック期の、ブロックフレーテとチェンバロのデュオが見事に流麗です。パーセルの曲もはいっていますが、皆川達夫氏が「(パーセルの音楽には)一見淡々としていて、しかも人生をリアルに見つめるイギリスのエッセイを読む心地がある。」(「バロック音楽」)と書いているのを思い出しつつこの一枚にイメージしたものは、夏の朝のくっきりとした爽やかさでした。暑い一日が始まる前の、思い煩いのない心。…

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これは日が落ちてからいただきます。北海道産の紫蘇のお酒<鍛高譚>。
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by skyblue_2 | 2008-07-24 12:02 | 音楽レコメンド

音の打ち水

なんだか今年は、毎日の過ぎるのが早い。気がつけばクーラーなしでは居られない季節で、セミが鳴いてて、七月も後半で…。うかうかしていると頭の中身が沸騰を始めそうな暑さの気配がしています。少しでもクールダウンしたい時は、やっぱり音楽の風に吹かれながらあてもない思いをぼんやり巡らせて、、そのままうとうとしてしまうというのが理想(きっぱり)。
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コンサートではさすがに寝ちゃうことはありません。今月は、プラハ放送響とゲヴァントハウス・バッハ・オーケストラを聴きました。

プラハ放送響と指揮ヴァーレクの組合せはベルギーから行った「プラハの春」以来ということにあとで気づいたのですが、今回もやはり冴え冴えとした管の響き。そして、演奏には「わが祖国」という曲に対する矜持が最後まで溢れているようだったのが印象的でした。
ゲヴァントハウスは、村治佳織さんのギターでバッハのチェンバロ協奏曲、そして夏に聴くブランデンブルク(私の中では秋の定番なので)という、とても触発される演奏会。ギター独特の透き通った陰影とか、やや早めのテンポで弾かれるブランデンブルクの旋律の流れに、爽快感を感じました。それも、涼風混じる夏の日暮れあたりのさわやかさを。
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by skyblue_2 | 2008-07-19 13:15 | 音楽レコメンド

タッチひとつで変わってしまう

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チェンバロの戸崎廣乃先生の「アルマンド」。フローベルガーやラモーなど各国のアルマンド(ドイツ起源の舞曲)を中心に演奏されています。
昨日のレッスンでは、あらためてチェンバロの音作りの難しさを知りました。優美で典雅なチェンバロの響きには繊細さも力強さも両方隠されている気がして、その奥行きに惹きつけられるのですが、そういう音に億分の一でも近づけたら…。
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by skyblue_2 | 2008-05-08 12:17 | 音楽レコメンド

チェンバロ再び

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クラヴサン工房アダチの練習室にあるフレンチモデルのチェンバロです。こちらで、帰国以来初めて楽器にさわることができました。鍵盤を前にしばらくは、このみやびなデザインにすっかり見とれてしまったわけですが。

このチェンバロを作られた安達さんはたいへん気さくな方で、工房でいろいろ説明してくださって、作製中のチェンバロやたくさんの道具に囲まれた友人と私は大興奮。音楽のいのちが生まれる現場というのはやはり感激してしまいます。チェンバロ製作の指導もしていらっしゃるとのこと、詳しくはこちらを。
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by skyblue_2 | 2008-03-12 20:48 | 音楽レコメンド

呼び覚ますもの

今日は眼の検査があって、瞳孔をお薬で拡大。そのためしばらくの間は蛍光灯くらいの明るさでもギラギラ眩いばかりになります。支払いを済ませたりしてもうそろそろと外に出た私は、春めいてきた陽射しをすっかり侮っておりました。まぶたを押し上げようにも痛いほどのまぶしさ、かといって運転席で鷹揚に待つみたいなことがどうも苦手な性分。いつものコンタクトをしていなかったので、眼鏡の上から無理やりサングラスをかけて運転してきました。よい子は真似してはいけません。耳のあたりがまだイタイ。

診察待ちに開くにはややただならぬ内容ですが、最近出会ってしまった一冊が「カノン 」篠田 節子(文春文庫)
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ちょっと厄介な思いを抱えていたりすると、類は友を呼ぶ式に惹きつけられる本というのがありますよね。それが小説であれば、感情移入し過ぎた分あとで苦く醒めた気持ちで読み直すことになったり。或いはそのストーリーをかりて昇華できたものに気づいたり。

封じ込めてきた(かもしれない)もう一人の自分をどうしようもなく意識させられたとき、どうするか。そんなテーマの通奏低音のように登場しているのがバッハ「フーガの技法」の19曲目のカノン。ストーリーではヴァイオリンによる演奏になっていて、私もオルガン以外でヴィオラ・ダ・ガンババージョンのバッハ「フーガの技法」 フレットワーク(キング・インターナショナル)を引っぱり出しました。遠くで響いているような鈍い弦の音が虚構を超えて問いかけてきます。
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by skyblue_2 | 2008-03-07 21:33 | 音楽レコメンド

シュトゥットガルト放送交響楽団

先週、ロジャー・ノリントンの指揮で聴いてきました。この指揮者が追求している<歴史的演奏法>は、オーケストラの見慣れない配置でまず眼前に。チェロは左側、ホルンは上下二列。後列にずらりと居並ぶコントラバスが圧巻でした。
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(写真は公演パンフレットより)

ノン・ビブラート奏法による響きというのはやはり独特です。力強く、それでいてポーンと突き抜けてゆく爽やかさがあって、ブラームスの交響曲一番のあの冒頭も、ギリシャ悲劇と現代詩くらいの感触の差(ってどんな)。オルガンの古典奏法を思い出しました。
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by skyblue_2 | 2008-02-15 19:40 | 音楽レコメンド